09/13/2011 - 07:37

放射線面および心理面における福島第一事故の影響

フランク・N・フォンヒッペル (Frank N. von Hippel)

フランク・N・フォンヒッペル (Frank N. von Hippel)

フランク・フォンヒッペル (Frank N. von Hippel) プリンストン大学ウッドロー・ウイルソン公共・国際問題学部「科学と世界安全保障プログラム」共同設立者。「核分裂性物質に関する国際パネル(IPFM)」共同議長。本誌のBoard of Sponsors(支援理事会)のメンバー。...

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2011年4月12日――マグニチュード9.0の地震と津波が福島第一原子力発電所でも最も古い4基の原子炉を作動不能にしてから1ヶ月後――原子力安全・保安院(NISA:日本の原子力規制機関)は、事故発生後の放射能の大気中への放出を考慮すると、「深刻な事故」、つまり、レベル7の非常事態となると発表した。「国際原子力事象評価尺度(INES)」で最高のレベルである。NISAは、この放出量を、1986年のチェルノブイリ事故――フクシマ以外で歴史上唯一のレベル7事故――のものと比較した(NISA, 2011)。6月――震災から3ヶ月後――日本は、「国際原子力機関(IAEA)」に対し、非常に大まかに言って、福島第一の原子炉の燃料から大気中に放出された放射能は、チェルノブイリ事故の際に放出された量の10分の1程度だと述べている(表1参照)。これは、見当外れではない。チェルノブイリの放射能は、直接大気中に放出されたからである。フクシマでは、原子炉から放出された放射能の多くは、原子炉建屋内の水の中で捕獲された。

福島第一の事故が長期的にどのような影響を健康に与えるかは定かではない。ベラルーシ、ウクライナ、ロシア西部、それに、さらに風下のヨーロッパで放射能に曝された人々の生涯において、約1万6000人のチェルノブイリ誘発ガン死が発生すると予測されている。このガン死の約半分は、1平方キロメートル当たり1キュリーを超えるレベルの放射性セシウム137で汚染された地域に住む600万人の間で、そして、残りの半分は、汚染レベルの低い地域に住むヨーロッパの約5億7000万人の間で、起こるだろうと推定されている(Cardis et al., 2006)。これら二つの集団で予測されるガン死増加の平均は、それぞれ、約0.1%と0.001%である。これに対し、先進国での全体的なガン死の率は27%である(American Cancer Society, 2008)。チェルノブイリ誘発ガンを統計的に検出し、見分けるのが難しいのは驚くに値しない。

福島第一の事故のガンの影響についての同様の推定はまだなされていないが、非常に暫定的な、おおざっぱな推測を行うことは可能である。福島原発の50マイル(80キロメートル)圏内に住む200万人のうち、約100万人が、1平方キロメートル当たり1キュリーを超えるレベルのセシウム137に汚染された地域に住んでいる1。チェルノブイリ事故によって同程度に汚染された地域に住む600万人との比較で言うと、福島第一事故に関連したガン死増加は、1000人程度と見ることができる。つまり、0.1%の発生率である。これは、事故をもたらした地震・津波の直接的死亡数――約2万――よりもずっと少ない(McCurry, 2011)。

もっと正確な推定は、チェルノブイリ事故の後のように、国全体の集団被曝線量推定がまとめられば可能となる。現段階では、議論の枠組みを作るために、長期的土壌汚染、避難決定、甲状腺ガンの問題を検討してみるのが有用である。最後に、適切に対処しなければ、チェルノブイリや福島のような事故に関連した心理的影響は、ガンの影響によるよりも、ずっと多くの人々の人生を台無しにすることになり得るということを認識することが重要である。

 

福島第一から大気中への

放射能放出推定量

(単位:百万キュリー)

チェルノブイリからの

放射能放出推定量

(単位:百万キュリー)

セシウム137

0.41

2.3

ヨウ素131

4.3

50

表1 2011年の福島第一原子力発電所からの大気中への放出についての日本政府の推定と1986年のチェルノブイリ事故の推定との比較(Japanese government, 2011: VI-1)2

土壌の汚染

福島第一原子力発電所の壊滅的な事故の状況を見ようと世界中の人々がテレビを見る中で、恐らく、もっとも劇的だったのは、4つの水素爆発だろう。これは、冷却材の喪失を示していた。冷却材の喪失の後、放射能による熱が燃料の温度を摂氏1000度(華氏約1800度)以上に上昇させ、ジルコニウム合金でできた被覆管(燃料棒の外側を覆っているもの)が原子炉圧力容器内の高温の水蒸気と反応を始めた(Alvarez et al., 2003)。ジルコニウムが水の分子から酸素を奪い取り、水素ガスを発生させた。この水素ガスが、圧力容器から漏れ出して、原子炉格納容器、原子炉建屋へと流れて、空気と混ざり、爆発した。これで原子炉建屋の上部構造部が壊れたのである。

しかし、もっと重要なことがあった。水素爆発は、燃料被覆管が損傷し、セシウム137やヨウ素131――比較的低い沸点を持つ核分裂生成物――が放出されたということを意味していたのである3。セシウム137の半減期――原子の半分が崩壊するのにかかる時間――は30年である。現在、このセシウム137と、これより寿命の短い従兄弟、セシウム134(半減期2年)が福島県および周辺の県の土壌を汚染した主要な放射性物質である。これらの汚染物質が崩壊する際に放出されるガンマ線が放射線レベルを上げる――そして、そこから生じる危険の程度が、除染の取り組みや長期的避難計画のあり方を決める4

チェルノブイリ原発周辺では、セシウム137が1000平方マイル(約3000平方キロメートル)の地域で、1平方キロメートル当たり40キュリーを超えるレベルの汚染をもたらした。この地域の住民は、永久に立ち退くよう勧告を受けた。1平方キロメートル当たり15~40キュリーのレベルの汚染地帯7000平方キロメートルの住民は、留まることを許された5。「厳格な規制」――つまり、土壌や建物、道路などの表面を部分的に除染するとともに、人々が汚染のひどい農産物を食べないようにすること――によって、放射線被曝量は、年間0.5レム(5ミリシーベルト)以下に抑えられた6

図1は、福島周辺のセシウム137による汚染レベルを示した地図である(US Department of Energy, 2011)。円および円弧は、福島第一原子力発電所からの距離を表している(20、30、60、80キロメートル)。陸側への最大の放出が起きたとき、風は北西方向に吹いていたようである。これらの放出は、3月15日におきたようである7

図1 セシウム137の汚染レベルは、高度150から700メートルでの固定翼機およびヘリコプターによる42回の調査飛行 におけるガンマ線測定に基づく。

 

測定は、2011年4月6日から4月29日の間に、日米両政府の合同プログラムにおいて得られた。福島、郡山、いわきの住民数は、それぞれ30万人ほどで、合計すると、福島第一原子力発電所の50マイル(80キロメートル)以内に住む全人口の約半分となる。

赤で示された地域と、これに隣接する黄色地域の一部(非常に大まかに言って合計175平方キロメートル)は、チェルノブイリ周辺の今も立ち退き区域となっている所と同じレベルに汚染されている。緑の地域と、これに隣接する黄色地域の一部(非常の大まかに言って合計600平方キロメートル)は、チェルノブイリ事故の後、住民が留まったが、その放射線被曝について厳格な規制が課せられた地域と同等のレベルに汚染されている。このように、福島県の高度汚染地域の面積は、チェルノブイリ周辺の同様の地域の面積の10分の1規模である。

日本がIAEAに提出した報告書において、2011年3月から5月の間に、20キロメートル圏の避難地域外で生じた最高の累積外部被曝線量は2~4レム(20~40ミリシーベルト)と推定されている。1年間の被曝線量は最高で5~10レム(50~100ミリシーベルト)に達すると推定された(Japanese government, 2011: Attachment V-13)。リスクが線量に比例すると仮定すると(LNT=閾値なし直線仮説)、10レム(100ミリシーベルト)の全身被曝は、後の人生における0.5%のガン死リスクを伴う8

4月10日、日本政府は、最初の1年間の被曝線量が2レム(20ミリシーベルト)を超えると想定される地域の住民の避難を勧告した(Japanese government, 2011: Attachment V-3, Table 1)。4月19日、日本政府は、「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」を発表した。これは、生徒の年間2レム(20ミリシーベルト)までの被曝を許容するものだった。これが、広範な怒りを巻き起こした(例えば、Chairman of the Japan Federation of Bar Associations, 2011)。10歳までの子供の放射線被曝は、全年齢平均の場合の2倍のリスクをもたらすと推定されている(National Research Council of the National Academies, 2006: Figure 12-1A)。福島県内のある汚染された校庭では、心配した両親と教師が、表面の土壌を取り除くことによって被曝線量を10分の1に減らした(Tabuchi, 2011)。

避難に関する論争

福島第一の事故から1日以内に、同原発から20キロ以内に住む13万人近くが避難指示を受けた。そして、3月15日、事故発生から4日後、20~30キロメートル圏内の住民には、放射線被曝を減らすため、屋内待避が勧告された(Japanese government, 2011: Attachment V-3, Table 1)。

翌日、放射性物質が風に乗って運ばれ、沈積した(図1参照)直後、米国「原子力規制委員会(NRC)」は、最悪の場合を恐れ、発電所から50マイル(80キロメートル)以内に住む米国市民に対し、避難を勧告した(Nuclear Regulatory Commission, 2011)9。当然のことながら、これは、日本政府を困惑させた。福島県には、わずか300人程度の米国人しか住んでいないが10、福島第一原子力発電所から半径50マイルの圏内には、200万人の日本人が住んでいる(表2)

福島第一原子力発電所から距離

マイル(km)

事故前にその距離内にいた累積人口

10 (16)

62,000

20 (32)

132,000

30 (48)

486,000

40 (64)

1,465,000

50 (80)

2,036,000

表2 福島第一原子力発電所から50マイル(80キロメートル)以内に住む人口(The New York Times, 2011)

4月7日、NRCの原子炉保障措置諮問委員会に対するNRCのスタッフによるブリーフィンが行われた際、委員会のメンバーが、この避難勧告に関してNRCのスタッフにこう質問した(NRC, 2011a: 91–92)

「立場を逆にしてみよう。32年前、日本が、スリーマイル・アイランドについて最悪の場合の計算をして、ハリスバーグの50マイル圏内に住む日本人は避難するようにと言ったら、政策という観点から言って、これに対する我々の反応はどうだっただろうか」

彼は、ハドソン河沿いのインディアン・ポイント原子力発電所の50マイル圏内には、ニューヨーク市の人口のほとんどを含め、1700万人が住んでいることも付け加えて良かっただろう(Donn, 2011)11

甲状腺ガン

チェルノブイリのもっとも目に見える、否定しようのない健康に対する影響は、放射性ヨウ素の高線量の被曝による甲状腺ガンの蔓延だった。1986年のチェルノブイリ事故の放射能に曝されたベラルーシの子供および青春期の人口のうち、2005年現在で甲状腺ガンと診断されたケースが7000件近くある。これらのケースの大半は、ヨウ素131に起因するものである(UNSCEAR 2008: 14-15)12。幸い、これらのガンのほとんどは非致死性のものだろう13

半減期8日のヨウ素131は、吸入したり、汚染された食料や水を通して摂取されたりすると、甲状腺に集中する。18歳未満の子供では、甲状腺の被曝線量が10レム(100ミリシーベルト)の場合、それによって甲状腺ガンが発症するリスクはおよそ0.3%となる14

チェルノブイリによる他のガンと比べ、甲状腺ガンが特に目立つのは、電離放射線によるガン誘発という点で、甲状腺の感度が比較的高いことと15、チェルノブイリ事故で汚染された地域の子ども達の甲状腺被曝が全身被曝と比べ約100倍も高かったこととによる16

チェルノブイリ事故による甲状腺の被曝線量が非常に高かったのは、汚染された牧草を食べた牛の牛乳の消費を当局が防止しなかったことによるところが大きい17。日本では、これとは対照的に、福島県と周辺3県の原乳および野菜の出荷が3月21日――高度の汚染をもたらした大きな放出が起きてから6日後――に停止された。翌日、農産物の放射能検査がはじまった(Japanese government, 2011: Table 1)。3月21日から23日の間に、福島第一原子力発電所の20キロ圏内から避難した1080人の子ども達に対して、ヨウ素131の被曝の検査が行われた。当局は、5レム(50ミリシーベルト)を超える甲状腺被曝を受けたものはいないとの結論を下した18。3月の最初の検査から3ヶ月経った時点で、県が、ヨウ素131に関する甲状腺の検査も含め、一部の住民の体内の放射性アイソトープのレベルを検査する予定と発表した(Yomiuri Shimbun, 2011)。最初の検査からこの発表までの間に再検査が実施されたかどうか定かではない。ヨウ素131は、すでに14半減期に亘って崩壊したことからすると、この時点までにほとんど、あるいは全く検出されなくなっていただろう19

日本の当局が、どれほど広範に、また、どのくらい早い時点で、ヨウ化カリウムの錠剤を住民に提供することによってヨウ素131の摂取を防止することを試みたのかははっきりしない20。放射性ヨウ素に曝される前に適切な量で摂取すれば、この錠剤は非放射性のヨウ素で甲状腺を一杯にし、それによって、ヨウ素131の吸収を防止する。ソ連では、チェルノブイリ事故の後、非常に少量のヨウ化カリウムしか配布されなかった。しかし、ポーランドでは、1000万人以上の子ども達――16歳以下――と約700万人の大人が、少なくとも1回分のヨウ化カリウムを受け取った。この結果、彼らの甲状腺被曝は、「無視できるレベル」まで下がったという(UNSCEAR, 2008: 7)。米国食品医薬品局(FDA)によると、「成人および子供における副作用は、一般に軽く、臨床的に意味のあるものではない」という(FDA, 2001: 4–5.)。

心理的影響

電離放射線の被曝に関連した特別の恐怖が存在することはよく知られている(Weart, 1988; Slovic, 1996: 165)。これは、損傷が目に見えないこと、そして、ガンや遺伝疾患の潜伏期間が長いことによるのかもしれない。

「チェルノブイリ・フォーラム」報告書(IAEAその他の国連機関とベラルーシ、ロシアおよびウクライナの政府の代表による2年間の取り組みの結果)は、次のように述べている(Chernobyl Forum, 2006: 20–21)。

ショッキングな事故や出来事はどれも、ストレス症状や、うつ、不安(心的外傷症候群を含む)、それに、医学的に説明不能な身体的症状などをもたらす可能性がある。このような影響は、チェルノブイリの影響を受けた集団でも報告されている。三つの研究において、影響を受けた集団が対照群の2倍の不安レベルを示し、影響を受けていない対照群と比べ、複数の説明不能の身体的症状や主観的な不健康状態を報告する可能性が3~4倍に達することが確認されている・・・。

影響を受けた集団に属する個人は、公式に「受難者」と分類され、通称「チェルノブイリ被害者」として知られることになった。この言葉は、ほどなく、マスコミが使うことになった。このレッテル、そして、避難者や汚染地域の住民に対して政府が当てた多額の給付が、これらの人々に対し、自分自身を運命的に病人とみなすよう仕向ける効果を持った。物事の心理的な捉え方は――それが間違っていても――気分や行動に影響を与えることが知られている。このため、これらの人々の多くは、自分を「生き抜いたもの(サバイバー)」としてではなく、無力で、弱く、自分の将来についてのコントロールを持たない存在として捉えるようになっている。

日本は、広島および長崎を生き抜いた人々に関し、同様の経験を持っており、特にこの問題に敏感になるべきである。 釣り合いのとれた形で、ガン・リスクの増大の意味を示すこと――増大分が、他の原因によるガン・リスクと比べて如何に小さいかを示すことによって――は、ある程度は役立つだろうが、心理的カウンセリングやグループ療法も必要かもしれない。

謝辞

本稿は、福島第一原子力発電所で2011年3月に発生した原子力災害に関する特集の一部である。特集の編集および翻訳は、Rockefeller Financial Servicesからの助成金によって可能となった。

翻訳 田窪雅文

参考文献

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1 大まかな推定。依拠したのはMEXT (2011)。

2 1キュリーは、37x109ベクレル(崩壊/秒)。

3 セシウムの沸点は、摂氏671度。ヨウ素は、摂氏184度。ヨウ化セシウムは、摂氏1277度。

4 チェルノブイリ原子炉から離れた地域--福島の事故によって放出されたような揮発性の核分裂生成物が支配的となった--ではセシウムの同位体が、事故から2ヶ月後の外部被曝の70%を占め、事故から4ヶ月後では85%を占めた。

5 当初、ベラルーシ、ロシア、ウクライナは、すべて、1平方キロメートル当たり15キュリーを超えるレベルの汚染地帯を避難地域とし、1平方キロメートル当たり5~15キュリーの汚染地帯の住民には避難する権利を与えることを計画した(UNDP & UNICEF, 2002: Table 3.1)

6 1レム=0.01シーベルト(UNSCEAR, 2000: Tables 8 and 26; p. 475)。

7 風向きは、3月15日の昼頃北西の方向に動き、真夜中まで、その方向に吹き続けた。風速は、小さかった(毎時約4キロメートル)。北西に40キロメートルの福島市での被曝線量率は午後6時頃上昇した。このデータの詳細な表については、以下を参照http://dl.dropbox.com/u/16653989/NuclPlants/index.html。放出は、2号機で3月15日午前6時20分頃爆発音のようなものが聞かれた後に生じた。格納容器の中の圧力低下が容器の損傷を示唆していた(Tokyo Electric Power Company [TEPCO], 2011)。

8 0.1シーベルト(10レム)の放射線被曝によるガン死の追加的リスクは、性別および年齢を平均化した推定では、0.26~1.2%である(National Research Council of the National Academies, 2006: Table ES-1)。このリスク推定は、「閾値なし直線(LNT)」仮説、つまり、電離放射線のガン・リスクは線量に比例するとの想定に基づいて、低い線量にも当てはめられる。この仮説を信じることを拒否するものも、とりわけ、原子力産業の中にはおり、その中には、さらに、少量の放射線は、体のDNA修復メカニズムを刺激するから、健康に良いとする「ホルメシス」仮説を信奉するものもいる。しかし、この問題についてもっとも詳しく検討した米国アカデミー/米国研究評議会の「電離放射線の生物影響に関する報告( BEIR)」は、LNT仮説を支持している。

9 3月14日、福島第一での2度目の水素爆発の後、東電の社長は、日本の首相に対し、発電所敷地内に留まり続けるのは危険だとして、従業員を全面撤退させる許可を求めたと報じられている(Onishi and Fackler, 2011)。

10 福島県(面積1万4000平方キロメートル)に居住と米国国務省に登録している米国人は約300人である(個人的コミュニケーション)。福島第一原子力発電所の50マイル圏内には、約1万平方キロメートルが入る。

11 米国の主要都市の中には、原子力発電所から50マイル圏内に入る所が他にも数多くある(The New York Times, 2011a: D1)。

12 ベラルーシ東部の二つ市に住んでいた7歳以下の子供4万7000人が甲状腺に受けた平均線量は70レム(700ミリシーベルト)と推定されている。国全体では(7歳以下の子供が100万人)、13レム(130ミリシーベルト)だった(UNSCEAR 2000: 477; Tables 39 and 40)。これは、二つの市で観測された子供の甲状腺被曝線量と平均の甲状腺被曝線量の比2.3:1をそのまま当てはめ、全人口に対する7歳以下の子供の割合が10%として推定。

13 米国における甲状腺ガンの死亡率は、約13%である。これに対し、他の固形ガンと白血病の場合は、約50%(非黒色腫皮膚ガンは除く)(National Research Council of the National Academies, 2006, Table 12-4)。

14 甲状腺の10レム(100ミリシーベルト)の放射線被曝による余分なガン・リスクは、性別および年齢を平均すると、0.1%である(National Research Council of the National Academies, 2006: Table 12-5A)。子供の場合、これが3倍となる。若齢時の被曝の感受性が高いからである(National Research Council of the National Academies, 2006: Table 12-2)。

15 全身の均一被曝によって予測されるガンの約5%が甲状腺ガンと見積もられているが、米国では、甲状腺ガンはすべての固形ガンの約1%を占めるに過ぎない。

16 チェルノブイリ事故後の最初の10年間にベラルーシの汚染地域に住んでいた200万人の全身被曝線量の平均は、0.8レム(7ミリシーベルト)だった(UNSCEAR 2000: Table 53)。同じ地域の7歳未満の子供の甲状腺被曝線量の平均は、約70レム(700ミリシーベルト)だった(UNSCEAR, 2000: Table 39)。

17 「一般住民の甲状腺被曝線量の高さは、ほとんど全面的に、事故後の最初の数週間にヨウ素131を含んだ牛乳を飲んだことによる」(UNSCEAR, 2008)。チェルノブイリの子供の場合、甲状腺被曝量と全身被曝量の割合は、およそ100:1だった。フクシマでは、甲状腺被曝がヨウ素131の吸入からだけ生じると仮定した場合、どれほどのものになるだろうか。NRCが仮想事故のもたらす放出に関して、吸入による甲状腺被曝量と全身被曝量との割合を計算しているが、これが手がかりとなる。ヨウ素131とセシウム137の放出量の比は、チェルノブイリの場合は、約20:1だったのに対し、フクシマの2号機の溶融事故の仮定的被曝線量についてのNRCの計算では8:1だった(Jaczko, 2011)。この計算では、原子炉から50マイル(80キロメートル)の地点における大人の全甲状腺被曝線量と吸入による甲状腺被曝線量の割合は、23/1.3=18となっている。大人の甲状腺被曝線量と事故後1年間の全身被曝線量の割合は、23/130=0.18である(NRC, 2011)。子供の甲状腺被曝線量は大人の数倍となるが、それでも比較的低い。従って日本の子供たちが汚染乳による被曝から効果的に守られていたなら、甲状腺ガンがガン全体のなかで占める割合は比較的低くなるだろう(約一割)。甲状腺ガンの死亡率が低いことからすると、甲状腺ガン死の割合はさらに低くなるだろう。

18 スクリーニング・レベルは、毎時0.02レム(0.2ミリシーベルト)だった。ヨウ素131の8日間の半減期を考慮すると、この線量に269をかけることになる(IAEA, 2011: 127)。

19 成人の甲状腺に1レム(10ミリシーベルト)の被曝を起こすには、0.6x10-6 のヨウ素131の摂取が必要である(Hamby and Benke, 1999: 245)。5歳の子供の甲状腺の被曝線量は数倍となる(NRC, 1975: Table VI?D-6)。甲状腺内のヨウ素131の検出可能な最小レベルは、 約35x10-12 である(Plato et al., 1976: 539)。0.6x10-6キュリーが崩壊して35x10-12キュリーになるまでには、14半減期(約110日)かかる。

20 事故に関するIAEAの報告は次のように述べている。「3月16日、現地本部が県に対し、避難が実施される場合には必ずヨウ素剤を投与するようにと指示した。しかし、この時点までに、避難の大半は完了していた」(IAEA, 2011: 127)。